はじめに
釣果に大きな影響を与える潮回り。
何となく潮回りを意識している方から、潮回りを考慮して釣行日程を決める方まで、人によって色々な考え方があるかと思います。
本記事では、「そもそも潮回りってなに?」という初心者の方や、「何となく知ってるけど、どれくらい重要なものなの?」という方にもイメージがつかめるように、潮回りが起こるメカニズムから、大潮~小潮までの各潮の名称の定義について解説します。
また、「大潮は釣れると聞いていたのに、自分のところでは釣れないことが多い。」といったように、一般的なイメージと実際の釣果がなぜずれるのかについても筆者なりに解説いたします。
加えて、筆者の経験も踏まえ、魚種別におすすめの潮回りについて紹介します。
潮回りとは
潮回りの定義を理解する上で、まずは潮汐(ちょうせき)についてご説明します。
潮汐とは、月と太陽の引力によっておきる海面が昇降する現象(海面が上がったり下がったりする現象)のことであり、1日に一回~二回、ゆっくりと海面が上下します。
この海面の上下の差が大きくなる日もあれば、小さくなる日もあります。
この海面の上下の差(潮の干満の差)ごとに、「大潮・中潮・小潮・長潮・若潮」と名前が付けられており、約15日間の周期※なっています。
この周期の総称を潮回りと呼びます。
※満月→満月までが約29.5日のため、その半分の約15日間で、大潮→若潮まで変化します。
各潮回りの定義
潮回りは、大潮→中潮→小潮→長潮→若潮→中潮→大潮→・・・と循環しています。
各潮回りと月の満ち欠けは連動しており、大潮の日は、満月まはた、新月となります。
以下は、潮回りと月の満ち欠けについて示した図です。
大潮(おおしお):4日間
一日の干満差が最も大きい潮回りです。
一般的には、魚の活性が上がり、釣りに適しているとされています。
中潮(なかしお):4日間
大潮の次に一日の干満差が大きい潮回りです。
大潮に比べ、干満差が少なくなりますが、適度に潮が流れているため、釣り人にとっては釣りがしやすいとされています。
小潮(こしお):3日間
干満の差が少ない潮回りです。大潮、中潮に比べ、潮の流れが弱くなってしまうため、それに伴い魚の活性が落ちてしまうため、釣りに適さないとされています。
長潮(ながしお)~若潮(わかしお)~中潮(なかしお):計2日間
長潮では、小潮同様に潮位の変化が少ない状態が長く続きます。
その後、まだ潮位の変化は少ないですが、変化がではじめる若潮へと変わります。
若潮の後は、中潮→大潮と近づくため、潮が若返る(=大潮に近づく)という意味を持っています。
上げ三分/下げ七分
ポイント
上げ三分、下げ七分は、潮どまり状態から約2時間後の魚の活性が上がる時間帯。
「上げ三分/下げ七分」とは、潮の干満の差を割合で表したものです。
干潮時と0分、満潮時を10部とします。
この際、「干潮→満潮へ移行までの時間の3割の地点を上げ3分」、「満潮→干潮へ移行するまでの時間の3割の地点を下げ7分」と呼び、魚の活性が上がりやすい時間帯となります。
なぜ上げ三分、下げ七分で魚の活性が上がりやすいかというと、干潮時、満潮時は完全に潮が止まっている状態となります。
この潮どまりの状態から、潮が動き出して、3割ほど時間がたった頃合いのため、上げ3分/下げ7分の時間帯であり、静→動への影響が出始めるため、魚の活性があがります。
干潮から満潮までは約6時間のため、上げ三分、下げ七分はそれぞれ、干潮、満潮から約2時間前後となります。
潮回りと地形の相性について
大潮なのに釣れない?小潮なのに釣れる?その理由とは!?
ポイント
地形起因の潮の速さ+潮回り起因の潮の速さ=対象魚の好む潮の速さ
一般的に大潮は釣れる、小潮は釣れないという話をよく聞きますが、実際はその通りにならないことも多くあります。
その原因は何でしょうか。
これは、地形と魚種の関係になります。
元々、潮の流れが早い地形やエリアにおいては、大潮では潮がさらに早くなります。
そのため、潮の流れが早すぎて魚が釣れなくなります。(釣りがしずらい、できない)
また、魚は潮の流れにのって回遊してくるため、仮に回遊してきたとしても、あっという間に通り過ぎてしまうため、結果的に魚がエサやルアーに気づくことなく通り過ぎてしまいます。
一方、元々、潮の流れが早い地形やエリアにおいては、小潮でも潮がある程度動いています。
そのため、むしろ小潮のほうが、魚が過ごしやすい程度の流れになったり、適度な潮の流れで釣りがしやすかったり、回遊性の魚も長い時間、同じ場所にとどまることが多くなるため、結果として小潮のほうが釣れる。という現状が起きます。
つまり、よく釣れる潮回りというのは、以下により考えることができます。
そのため、釣りに行くエリアの地形の特徴によって、潮の流れが早いか、遅いかを把握していれば、大潮から小潮までの各潮回りにおいて「対象魚の好む潮の速さ」となる潮回りを予想して釣りに行くことができます。
実際には、釣りは自然相手の釣りのため、早々簡単には予測できないのですが、このイメージを持っておくことでも、計画を立てる上では大いに参考になると思います。
同じ大潮なのに釣果に大きな差?満月の大潮と新月の大潮の違いについて
夜釣りにおいて、同じ大潮なのによく釣れた日と全く釣れなかった日があったという経験がある方もいるのではないでしょうか。
これは、満月と新月の差が関係している場合があります。
魚は、匂いに加え、側線で水中で水圧や水流、電場の変化を感じとっているため、暗い中でもエサを見つけて捕食することができますが、当然、視覚も使ってエサを探しています。
そのため、新月の夜には、魚も月明かりがないため、エサを見つけづらくなります。
この差は、スズキやタチウオ、カマスやアジ、イカ(エギング)の夜釣りにおいて、筆者は顕著に表れた経験があります。
魚種別のおすすめの潮回り
ここまでは、魚種別に筆者の経験を踏まえ、おすすめの潮回りについて解説します。
回遊性の高い魚:大潮
回遊魚は基本的に潮の流れに乗って移動してきます。
そのため、ブリやイワシ、アジなどの回遊性の高い青物系の魚は大潮のほうがよく釣れます。
また、タチウオも潮の満ちてくると同時に、湾の奥まで入ってきて、潮が引くのに合わせて、湾奥から出ていくことが多いため、大潮のほうが良い釣果を得られることが多いです。
一方で、アジでも小型のサイズは遊泳力が弱いので、同じアジでもあまりも潮の流れが早いと、釣れづらくなります。
また、コマセで寄せたアジがあっという間にコマセが流されてどこかに行ってしまうこともあるので、先に述べたように、そのエリアの地形も考慮することが重要です。
遊泳力の弱い魚:中潮~小潮
遊泳力の弱い魚は、潮の流れが早いとエサを捕食するのも一苦労です。
代表的な例はタコです。
そのため、潮どまりの時間帯や、中潮~小潮にかけての潮の動きが弱い方がよい釣果を期待できます。
ボートでのマゴチ釣りも、中潮~小潮がオススメです。
ルアーマゴチの場合、潮の流れが早すぎると、着底させたルアーが底を流れてしまい、釣りが非常にしずらい状況になります。
そのため、大潮は避けて、中潮などの適度に潮が動く潮回りがオススメです。
潮回りは関係ない!? いつでも安定の居つきの魚
潮回りが悪く、食いが渋いときでも、ある程度の釣果が見込めるのが穴釣りによるカサゴなどの居つきの魚を狙った釣りです。
湾奥やテトラの奥に潜んでおり、元々、潮の影響を受けにくい場所にいる魚は、安定して釣り上げることができます。
食いが渋いとどうしてもやる気もなくなってきてしまいますが、そんな時は、穴釣りでカサゴ達に遊んでもらうのがオススメです。
おわりに
今回は潮回りについて解説しました。
潮回りを意識することで釣果がアップするとともに、釣れたから釣ったに変わる喜びや、釣りの計画を立てる際の目安やモチベーションにも繋がると思います。
一概に大潮だから釣れるといったわけではないところが、難しくもあり、自然相手の遊びである釣りの面白いところでもあります。
本記事が、少しでもお役に立てば幸いです。